BALANÇO DA BOSSA e outras bossas
Augusto de Campos 編
ボサノヴァを研究するなら、
まずこの本から始めよ、
と当時の客員教授に言われるがままに買いました。
68年初版で、今となっては古い本ですが、
ボサノヴァ運動が生まれる前後の事実関係などのまとめや、
音楽的考察、そして、ボサノヴァから歌謡祭~トロピカリズモに
つながるブラジルのポピュラー音楽について、
インタビューなども交えた重厚な評論集。
このラインは現代のMPBを樹に例えれば
太い大きな幹となるところだと思うので、
今でも資料としての価値は高いのではと思います。
中村とうようさんが昔上智の学生に依頼して
訳を試みようとしたようだが、
難解なため断念した、とどこかで読んだけど
本当かな?
確かに学生だった当時は難しくて通読はできなかった。
今ならどうだろう?余計に難しいかも知れませんが(笑)
当時あまりスポットが当たっていなかったという、
ルピシニオ・ロドリゲスについても一項を設けています。
彼はサンバ・カンサゥンをよく作曲し、
Ela diise-me assim, Nunca, Quem há de dizer, Se acaso você cheagasse, Nervos de aço
といった曲は彼の作品の中でもよく知られているのではないでしょうか。
ノエル・ローザ、マリオ・レイス、そして
マリオ・ヘイスを幼少時に真似て歌っていたと自ら証言する
ルピシニオ・ロドリゲスというラインに
現れたのがジョアン・ジルベルト、という見方ができそう。
ルピシニオ・ロドリゲスは、
ジョアン・ジルベルトが駆け出しの頃に
ポルト・アレグレで会っていたそうで、
当時、ジョアンをまともに評価する人はおらず、
食いっぱぐれていた、と話しています。
というような興味深い話にも触れられる一冊。
なんかこういう自分の過去の痕跡みたいなのを
上げるのは、ちょっと恥ずかしいですけどね。